相続税なにがかわった?2024年最新制度を解説
相続税なにがかわった?2024年最新制度を解説
不動産オーナーの皆様にとって、相続・贈与の問題は避けて通れない重要な課題です。適切な対策を講じることで、大切な資産を次世代に円滑に引き継ぎ、相続税の負担を軽減することが可能となります。
本資料では、不動産所有者が知っておくべき相続・贈与に関する基礎知識をわかりやすく解説いたします。税制や法律の基本的な仕組みから、具体的な対策まで、実務に即した情報をご提供してまいります。
これらの知識を活用することで、将来の相続に向けた準備を計画的に進めることができます。ぜひ、資産承継の参考としてご活用ください。
そもそも相続とは?
大切な資産を次の世代へ引き継ぐこと
相続とは、人が亡くなった際に、その方の財産(不動産、預貯金、有価証券、事業用資産、知的財産権など)を次の世代へ引き継いでいく重要な過程です。
この引き継ぎの方法には、複数の相続人で分け合う共同相続、一人が全てを相続する単独相続、長子が優先的に相続する長子相続など、様々な形態があります。
これらの相続のかたちは、その時代の社会的背景や家族構成、経済状況などによって大きく変遷してきました。
歴史的に見ると、私たちの先祖から受け継いだ財産は、それぞれの時代に適した形に少しずつ姿を変えながら、大切に守られ、次の世代へと引き継がれてきています。
このように、相続は単なる財産の移転だけでなく、家族の歴史や価値観を継承する重要な機会でもあるのです。
相続の歴史的変遷
相続の歴史:中世~近代
中世における相続は、主に武家社会での家督相続を中心に発展してきました。
この時代、武士階級にとって家名と領地の継承は家の存続と権力の維持に直結する重要な事項でした。
特に鎌倉時代以降、単独相続の形態が一般的となり、嫡男(長男)が家督を継承する慣習が定着していきました。
これは、領地の細分化を防ぎ、軍事力と経済基盤を維持するための合理的な選択でもありました。
当初は兄弟間での共同相続も見られましたが、次第に単独相続が主流となり、これが後の時代の相続制度にも大きな影響を与えることとなりました。
このような武家社会での相続制度は、単なる財産分与の仕組みを超えて、社会秩序の維持と権力構造の安定化にも寄与する重要な制度として機能していました。
相続の歴史:近世~近代
近世に入ると、商家や農家でも独自の相続慣習が確立され、それぞれの家の事情や地域性を反映した多様な継承方法が生まれていきました。
商家では商売の継続性を重視し、経営手腕のある後継者を選ぶ傾向がありました。
一方、農家では土地と農業技術の確実な継承が重視され、年中行事や農作業の知恵なども同時に引き継がれていきました。
このように、各家庭で独自の相続のルールが形成され、家業や土地の継承方法が徐々に体系化されていったのです。
当時の社会において、いずれの身分であっても家を存続させることは非常に重要な責務とされており、多くの場合、家督を継ぐ長男による相続が一般的な形態として定着していました。
相続の歴史:近代~戦前
近代に入ると、1898年(明治31年)の明治民法の制定により、相続制度は法的に整備され、家督相続制度が正式に確立されました。
この制度下では、家を継ぐ長男が単独で家産、家名、祭祀権などの一切の権利義務を相続することが定められ、他の相続人の権利は著しく制限されることとなりました。
この家督相続制度は、明治政府が目指した家族制度の確立と社会秩序の維持に大きな役割を果たしましたが、一方で男女の不平等や財産権の偏りという課題も内包していました。この制度は1947年(昭和22年)の戦後民法改正まで約半世紀にわたって日本の相続制度の中核を担い続けることとなりました。
相続の歴史:戦後~現代
現代では、戦後の民法改正により、それまでの家督相続制度が完全に廃止され、相続制度は大きな転換期を迎えることとなりました。
この改正は、日本の相続制度の歴史において最も重要な変革の一つとされています。
特筆すべき点として、配偶者の権利が大幅に強化され、被相続人の財産に対する法定相続分が明確に保証されるようになりました。
これにより、配偶者の生活保障という観点からも、より実効性のある制度となりました。
さらに、子どもたちの間での相続についても、性別や出生順に関係なく、法律上は完全に平等に分配されることが原則として確立されました。
この改革により、従来の長子相続や男子優先の慣習から脱却し、より公平な財産分配の仕組みが整備されることとなったのです。
このような基本的な制度改革に加えて、近年では社会情勢の変化に対応するため、配偶者居住権の創設や、計画的な資産移転を可能にする生前贈与制度の整備など、さまざまな新しい制度の導入が進められています。
特に配偶者居住権は、不動産の相続財産的価値を下げることで配偶者の居住権を保護しつつ、生活費としての財産も承継し安心して暮らせるようにする制度として注目されています。
これらの継続的な制度改革により、現代の相続制度は、より公平で柔軟な資産承継を可能にする仕組みへと着実に進化を遂げています。
特に、高齢化社会の急速な進展に伴い、相続税の課税対象となる資産価値の上昇や、複雑化する家族関係への対応など、新たな社会的課題に対応するための制度設計が継続的に行われています。このような制度の進化は、現代社会のニーズに即した、より実効性の高い相続制度の実現を目指すものといえます。
このように、相続制度は社会情勢や経済環境の変化に応じて絶え間なく進化を続けており、その変遷は現代においても継続しています。
特にオーナーの皆様にとっては、これらの制度変更が資産価値や相続税の計算方法に直接的な影響を及ぼす可能性があるため、最新の制度改正の内容を正確に理解し、専門家のアドバイスを得ながら、計画的かつ適切に対応していくことが非常に重要となっています。
2024年、相続はどう変わった?
相続登記の義務化
2024年4月1日より、不動産を相続した場合、3年以内に相続登記を行うことが法律で義務付けられることになりました。この制度では、正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。この改正は、相続登記の未了による所有者不明土地の増加を防ぐことを目的としています。
相続土地国庫帰属法の成立
この制度は、管理が困難な不要な土地を国に返還することを可能にする新しい仕組みです。2023年4月27日から開始され、土地審査の手数料や管理コストを基に計算された10年分の費用を負担金として支払うことで、土地を国に帰属させることができます。この制度は、土地の管理に苦慮する相続人の負担軽減を図ることを目的としています。
生前贈与加算期間の延長
譲り渡した財産のうち、年間110万円を超える部分について贈与税が発生する点は従来通りとなっています。
この基礎控除の仕組みは、贈与税の負担を軽減し、世代間での円滑な資産移転を促進する目的で設けられています。
ただし、相続時の課税対象期間については重要な変更が加えられました。
2023年12月31日までは、財産を譲り渡した人が亡くなる3年前から譲り受けた分が相続税の課税対象とされていましたが、2024年1月1日からは、この期間が大幅に延長され、7年前から譲り受けた分が課税対象とされることになります。
この改正により、相続時の税務調査の対象期間が拡大され、より長期的な視点での資産移転計画が必要となってきています。
相続時精算課税の見直し
2024年1月1日からは、相続時精算課税制度において「年間110万円までは贈与税・相続税の対象外」とする新たな基礎控除の仕組みが導入されます。
この改正により、年間110万円までの贈与については贈与税が非課税となり、かつ特別控除額2,500万円の計算にも含まれないという大きなメリットがあります。
なお、特別控除額の2,500万円までは従来通り贈与税はかかりませんが、それを超過した部分については一律20%の贈与税が課税されることになります。この新制度により、より柔軟な資産移転の計画が可能となりました。
贈与税非課税特例の延長
結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税措置について、当初2023年に廃止が予定されていましたが、若い世代への継続的な経済支援の必要性を考慮し、2025年3月末まで延長されることが決定しました。
この制度は、若い世代の経済的自立と家族形成を支援する目的で導入されたもので、30歳未満の子や孫への教育資金として最大1500万円までの贈与を非課税とすることができます。この制度を活用することで、教育費用の負担を軽減し、より充実した教育機会を提供することが可能となっています。
同様に、教育資金の一括贈与に関する非課税措置についても、2023年の廃止予定から2025年3月末まで適用期限が延長されることになりました。この制度では、結婚関連費用として300万円、そして妊娠・出産・育児関連費用として700万円、合計で1000万円までの贈与が非課税となります。具体的には、結婚式やハネムーンの費用、新居の住居費、出産時の入院費用、ベビー用品の購入、保育園の費用など、幅広い用途に活用することができます。このように、世代間の資産移転を促進し、祖父母や親世代から若い世代への資産移転を税制面でサポートすることで、経済的な不安なく結婚や子育てに踏み出せる環境づくりを推進しています。さらに、この制度は少子化対策としても重要な役割を果たしています。
まとめ
2024年の相続制度改正の4つの重要な変更
2024年の相続制度改正では、主に以下の4つの重要な変更が行われました。
- 相続登記の義務化により、3年以内の登記申請が必須となりました
- 生前贈与加算期間が3年から7年へと大幅に延長されました
- 相続時精算課税制度に新たな基礎控除の仕組みが導入されました
- 結婚・子育て資金及び教育資金の贈与税非課税特例が2025年3月末まで延長されました
これらの改正は、不動産オーナーの皆様の資産承継に大きな影響を与える可能性があります。
今後は、より長期的な視点での相続対策が必要となってきますので、専門家への相談を含め、計画的な準備を進めることをお勧めいたします。
相続のご相談も山友不動産にお任せください。
当社、山友不動産では不動産オーナーの皆様の大切な資産を次世代に円滑に引き継いでいただけるよう、専門的な知識と豊富な経験を活かし、きめ細やかなサポートを提供させていただいております。相続・贈与に関する様々なご相談に対して、オーナー様一人一人の状況に応じた最適なアドバイスを心がけております。
まずは無料相談から。すこしでも気になることがございましたらお気軽にお問い合わせください。
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