オフィス賃料トレンド総まとめ|東京・大阪・名古屋・地方都市の最新動向と今後の見通し
2025年のオフィス市場は、主要都市を中心に空室率の低下と賃料上昇が同時に進む「回復局面」が鮮明になっています。特に高グレードビルは需給がタイト化し、賃料上昇の牽引役となっています。
本記事では、2025年第4四半期の動きと、東京・大阪・名古屋・地方都市の最新トレンドを整理したうえで、賃料が上昇している背景と今後の見通しを解説します。
2025年第4四半期のオフィス市場はどう動いたか?
全国的な回復基調がどこまで進んだのか
直近の四半期(2025年Q4)に起きた需給変化を整理し、全国的な回復基調がどこまで進んだのかを俯瞰します。
2025年Q4の特徴は、単に空室が埋まっただけでなく、条件面が貸し手優位に傾きはじめた点です。空室率が下がる局面でも賃料が上がらないことは珍しくありませんが、今回は高品質なビルから先に募集条件が強くなり、相場全体にじわじわ波及しました。
需要の中心は、出社の再設計に伴うオフィスの見直しです。面積を増やす企業もあれば、同じ面積でも立地やビル品質を上げる企業も増え、結果として「良いビルほど空室が出ない」状態が強まりました。
一方で、都市によって新規供給の有無や産業構造が異なるため、空室率の動きは一枚岩ではありません。賃料トレンドを読むときは、都市別だけでなく、グレード別の需給の差まで見て判断することが重要です。
全国13都市のオフィス市場調査(CBRE)概要
全国13都市を対象とした市場調査では、都市ごとのオフィス需給を同じ指標で比較できる点が強みです。代表的な観測指標は空室率と賃料で、さらにグレード別に分けることで「どの品質帯に需要が集中しているか」も読み取れます。
空室率は市場のタイトさを表し、賃料はその結果としての価格反応を示します。ただし賃料は募集条件やフリーレントなどの調整が入りやすく、短期的には空室率の変化より遅れて動くことがあります。
そのため都市別比較では、空室率の方向性と賃料の伸びをセットで見たうえで、グレードAなど上位帯の動きが先行指標になっていないかを確認すると判断精度が上がります。
出社回帰・業容拡大が賃料上昇を後押し
賃料上昇を後押しした最大の需要側要因は、出社回帰の進行です。完全リモートを前提に縮小した企業が、採用や教育、部門間連携を重視して拠点を再構築する動きが増えました。
加えて、業容拡大や人員増に伴う拡張移転、機能分散のための分室開設が賃貸需要を押し上げています。特に「今の面積では会議室や共用スペースが足りない」という課題が、単純な坪数増につながりやすい局面です。
重要なのは、需要が戻っただけでなく、企業がオフィスに求める価値が変わったことです。通勤利便性、設備、BCP、環境性能などの条件を満たす物件に需要が寄りやすく、結果として高グレードの成約が相場を引き上げる構図が生まれています。
空室率低下と賃料上昇が同時進行する“回復局面”へ
空室率低下と賃料上昇が同時に起きる局面では、リーシングが「埋める」から「選ばれる」へ変わります。テナントの選別が強まる一方で、貸主側も条件を崩さずに決められるため、賃料が上向きやすくなります。
ただし、賃料上昇は市場全体で均一に起きるのではなく、高グレードから先行するのが一般的です。良いビルの空室が減ると、移転候補が限られ、競争が起きやすくなるためです。
都市別には濃淡があり、新規供給がある都市では一時的に空室率が上がっても、優良物件の賃料は下がりにくいことがあります。回復局面を正確に捉えるには、空室率の上下だけでなく、どの品質帯で空室が増減したかまで確認する必要があります。
東京オフィス市場
空室率は5年ぶりの低水準、賃料は17年ぶりの高値
東京は空室率が歴史的低水準まで改善し、高グレードを中心に賃料が強含む状況が続いています。
東京の2025年Q4は、需給が一気に引き締まった印象が強い四半期です。特にグレードAで空室がほとんど見つからない状態に近づき、移転の意思決定そのものが「良い区画が出たタイミングで動く」形になりやすくなっています。
賃料は上昇局面に入っていますが、背景は単純な景気拡大だけではありません。出社を前提にした働き方の再設計に加え、人材獲得や企業ブランディングの観点から、立地とビル性能を重視する企業が増えています。
この結果、賃料は高グレード主導で上がり、時間差でオールグレードにも波及しています。交渉ではフリーレントや内装負担よりも、入居可能時期や増床余地といった実務条件がボトルネックになりやすい点も、回復局面の特徴です。
空室率:オールグレード1.6%、グレードAは0.7%まで低下
東京ではオールグレードの空室率が1.6%、グレードAは0.7%まで低下し、需給逼迫が数値としても明確になっています。空室率が1%を切ると、選択肢が極端に少なくなり、同条件で比較検討すること自体が難しくなります。
この水準では、募集が出てもすぐに申し込みが入りやすく、複数社が同じ区画を取り合うケースも増えます。結果として、成約賃料が募集賃料に近づき、条件交渉の余地が小さくなりがちです。
注意したいのは、空室率の低さが必ずしも「どのビルでも満室」を意味しない点です。需要は高品質・好立地に寄るため、同じ東京でも物件間の差はむしろ拡大しやすくなります。
出社回帰・分室開設・グレードアップ移転が増加
空室率低下を生んだのは、出社回帰による面積需要の回復です。固定席を減らしても、会議室やコラボスペースを増やすと必要面積が戻ることが多く、結果として「縮小しない移転」も増えています。
分室開設は、採用や通勤利便性、BCPの観点から合理的です。特に都心内で機能を分ける動きは、まとまった面積を追加で必要とし、空室の吸収を早めます。
グレードアップ移転は、同じ賃料でも満足度が高いわけではないという現実に基づく選択です。電源・空調・セキュリティ・共用部の質といった日々の体験価値が、賃料差以上の経営メリットになると判断されやすくなっています。
グレードAが1%を下回るのは約5年ぶり
グレードA空室率が1%を下回るのは約5年ぶりで、市場がコロナ後の調整局面を抜けたことを示すサインです。空室率がここまで低いと、募集条件は「空室を埋めるため」ではなく「入居企業を選ぶため」に設定されやすくなります。
実務的には、募集開始から内見、申し込み、審査、契約までのスピード勝負になりやすい点が変化です。社内稟議のテンポが遅い企業ほど、好条件の区画を取り逃すリスクが上がります。
一方で、空室率が低いほど更新時の賃料改定圧力も強まります。移転の代替案が乏しくなるため、更新交渉は「移れるか」より「移らない合理性をどう作るか」が論点になります。
賃料:グレードAは4万円台に突入(41,050円)
東京のグレードA賃料は41,050円まで上昇し、4万円台に突入しました。これは単なる値上がりではなく、上位帯で供給が足りていないことを意味します。
賃料上昇の主因は、逼迫した需給と品質選好です。高グレードの候補が少ないため、企業は「多少高くても確実に良い区画を押さえる」判断をしやすくなります。
加えて、内装やレイアウト変更を含めた総コストで見ると、設備が整ったビルほど移転後の追加投資が減ることがあります。賃料だけで判断せず、トータルコストと運用負荷の差が賃料許容度を押し上げています。
17年ぶりの4万円台
17年ぶりの4万円台は、価格水準としてのインパクトが大きい一方、過去と同じ理由で上がっているわけではありません。以前は景気拡大と金融環境が主因になりやすかったのに対し、今回はオフィスの役割が「出社する場所」から「成果を出す場」へ変わったことが大きいです。
ESGや環境認証、防災性能といった要素が、意思決定の前提条件になりつつあります。これらを満たすビルは数が限られるため、同じ立地でも価格差が正当化されやすくなります。
結果として、賃料上昇は一時的な循環よりも、構造的な選別の結果として現れやすい点が、今回の局面の特徴です。
オールグレードも2万3,440円で2.5%上昇
オールグレードでも23,440円で2.5%上昇しており、高グレードだけの話ではなくなっています。上位帯の逼迫が続くと、次点の物件にも需要が流れ、相場全体が持ち上がるためです。
ただし上昇の中身は均等ではありません。立地が良い、基準階が使いやすい、設備更新が進んでいるなど、選ばれる理由がある物件ほど上げやすい一方、築古や管理品質が弱い物件は据え置きになりやすいです。
市場平均の上昇だけを見ると判断を誤るため、自社が狙うエリアとグレードのミクロ相場で賃料トレンドを確認する必要があります。
高グレードビルの需給逼迫が顕著
高グレードビルで空室が出にくいのは、需要が強いだけでなく、供給側の構造も影響します。大規模で高性能なビルは、そもそも供給が限定され、竣工後すぐ埋まりやすいからです。
逼迫が進むと、成約賃料が想定より上振れし、貸主は募集条件を強気に設定しやすくなります。テナント側は賃料交渉よりも、工期、入居時期、原状回復条件など、実務条件で折り合いをつける場面が増えます。
この局面で重要なのは、移転プロジェクトの前倒しです。半年や1年遅れるだけで選択肢が変わり、結果として賃料だけでなく移転コスト全体が上がる可能性があります。
大阪オフィス市場
新規供給の影響でグレードA空室率は上昇も、賃料は過去最高
大阪は新規供給の影響で一部に空室が残る一方、需要の底堅さから賃料は上昇し最高値を更新しています。
大阪は新築供給の影響が表れやすい市場で、空室率が上がったからといって直ちに市況悪化とは言い切れません。供給が増えた直後はリーシング途上の床が空室として計上され、数字が一時的に悪化します。
それでも賃料が上がっているのは、好立地・高品質に対する需要が強く、供給があっても吸収できる見通しが持たれているためです。特にグレードAは、企業の統合や拡張、働き方の見直しの受け皿になりやすいです。
大阪の読み方は、全体平均よりも「新築の埋まり方」と「既存優良物件の成約水準」に注目することです。供給が続くほど、物件間の競争が強まり、選別が進むからです。
空室率:オールグレード2.2%、グレードAは3.7%に上昇
大阪の空室率はオールグレード2.2%と低水準にある一方、グレードAは3.7%に上昇しています。この差は、需要が弱いというより、供給の影響がグレードAに集中して表れていると解釈するのが自然です。
オールグレードが低いのは、既存ストック全体では空室が着実に吸収されていることを示します。つまり市場全体の基調は悪くなく、部分的な供給増が数字を動かしている構図です。
テナント側から見ると、グレードAの選択肢が一時的に増える局面は交渉余地が生まれやすい反面、人気ビルや好立地は早期に埋まるため、物件ごとの温度差を前提に動く必要があります。
新規供給ビルが空室を残して竣工
新規供給ビルが空室を残して竣工すると、統計上の空室率は上がります。竣工時点ではリーシングが完了していないことも多く、実態としては「空室が増えた」というより「供給が増えた」ことの反映です。
このとき重要なのは、その空室が短期間で吸収されるかどうかです。募集条件が現実的で、入居時期が合うテナントが多ければ、空室率は数四半期で落ち着きます。
逆に、想定賃料が高すぎる、区画が使いにくい、工期が合わないといった理由で埋まりが遅れると、周辺物件の条件にも影響が及びます。供給局面では、スペックだけでなく運用面の使いやすさがリーシングを左右します。
ただし全体としては底堅い需要
大阪では移転・統合・拡張などの需要が継続しており、全体として底堅いと言えます。特に交通利便性が高いエリアや、採用面で訴求しやすい立地では、企業の意思決定が早くなりやすいです。
需要の底堅さがある一方で、埋まり方はスペックと立地で分かれます。新築でも、周辺環境や動線、共用部の質が期待に届かなければ時間がかかることがあります。
つまり大阪は、需要があるからこそ「選ばれる条件」が明確になる市場です。テナントにとっては比較可能な物件が増える局面でもあるため、要件定義を早めに固めるほど有利に進められます。
賃料:すべてのグレードで上昇、グレードAは過去最高値
大阪は空室率が一時的に上がっても、賃料はすべてのグレードで上昇し、グレードAは過去最高値を更新しています。これは、優良物件の希少性と需要の質が賃料を下支えしているためです。
供給があると賃料が下がると考えがちですが、実際は「供給されるのが高品質で、需要も高品質を求めている」場合、賃料は維持・上昇しやすくなります。既存の優良物件も相対的に価値が見直されるからです。
また、更新局面では賃料是正が入りやすい点も見逃せません。景気や需給が改善していると、貸主は過去のディスカウントを戻しやすく、結果として市場平均の賃料がじわじわ上がります。
オールグレード:1万5,000円(1.6%上昇)
オールグレードの賃料は15,000円で1.6%上昇しており、上昇が広いレンジで起きていることが分かります。高グレードだけが上がる段階を超え、条件の良い中位グレードにも波及している状態です。
ただし、同じオールグレードでも上がりやすいのは、立地が良い、管理が良い、設備更新が進んでいるといった物件です。更新投資が遅れているビルは、賃料を上げにくくなります。
相場把握では平均値だけで判断せず、近隣の成約事例や募集条件の変化を追うことが実務上の精度を高めます。
グレードA:2万6,950円(3.7%上昇)
グレードAは26,950円で3.7%上昇と、上昇率が相対的に高い水準です。これは需要集中が起きているサインで、企業がオフィスをコストではなく投資として捉え始めていることとも整合します。
グレードAでは、賃料だけでなく、入居までのスケジュール、増床の柔軟性、館内サービスなどが意思決定を左右します。賃料交渉が効きにくいぶん、総合条件の設計が重要です。
また、同じグレードAでも、駅距離や周辺環境、ビルの運用品質で差が出ます。上昇局面ほど、物件選びの失敗が固定費として長期に残るため、評価軸を明確にする必要があります。
2020年第1四半期の最高値を更新
2020年第1四半期の最高値を更新したことは、コロナ前のピークを超えたという意味で、市況回復の完了感を示します。単なる戻りではなく、需要の質が変わったうえでの更新である点が重要です。
一方で、最高値更新は今後の警戒点も示唆します。供給が続く局面では、立地やスペックが弱い物件から競争が激化し、賃料が伸び悩む可能性があります。
したがって大阪では、短期的には強含みでも、中期では供給計画と吸収ペースの見極めが欠かせません。貸主・借主の双方が、数年先を見た意思決定を迫られる市場です。
名古屋オフィス市場
空室率は6年ぶりの1%割れ、賃料は過去最高を更新
名古屋は供給が限られる中で需要が堅調に推移し、空室率の低下と賃料上昇がよりはっきり表れています。
名古屋は、供給が限定されやすい構造の中で需要が安定しているため、需給が締まりやすい市場です。結果として、空室率の低下がそのまま賃料上昇につながりやすく、回復の輪郭が分かりやすいのが特徴です。
企業側は、採用や働き方の観点から立地改善やオフィス品質の見直しを進める一方、選択肢が多くないため意思決定が早まる傾向があります。良い区画が出たときに確保できるかが重要になります。
名古屋の賃料上昇は急騰というより、確実に底上げされるイメージです。更新時の賃料是正も入りやすく、供給制約が続く限り、強含みのトレンドが続きやすい状況です。
空室率:オールグレード2.3%、グレードAは0.7%
名古屋の空室率はオールグレード2.3%、グレードAは0.7%と、高グレードの逼迫が際立っています。グレードAが1%を切る水準では、移転候補の在庫が薄く、条件交渉よりも「確保できるか」が主要論点になります。
オールグレードが2%台でも、良い物件に限れば体感はさらにタイトです。人気エリアや新しめのビルに需要が集まるため、平均値より厳しい状況が起きやすいです。
この局面では、将来の増床やレイアウト変更の可能性も含め、少し先の必要面積を見込んで区画を選ぶ企業が増えます。結果として、空室の吸収がさらに早まることがあります。
19年第4四半期以来の低水準
19年第4四半期以来の低水準という位置づけは、コロナ禍の調整を経て、名古屋が再び引き締まった市場に戻ったことを意味します。空室率の改善が長期トレンドとして継続していることが、賃料の上昇圧力になります。
名古屋は東京や大阪と比べて供給の波が大きくないぶん、需要が一定あれば需給が締まりやすいです。つまり、景気の小さな変化よりも、供給制約の影響が相対的に大きい市場です。
そのため、短期の指標だけで判断せず、供給計画と主要エリアの在庫感を合わせて見ることが、空室率の低さを正しく解釈するポイントになります。
供給が限られる中で需要が堅調
供給が限られる中で需要が堅調だと、移転の選択肢が減り、条件が強含みになります。特に高品質物件の供給が少ない場合、グレードAに需要が集中し、賃料が上がりやすくなります。
需要が続く要因は、拡張移転だけではありません。立地改善や働き方改革に合わせたオフィス刷新など、「質を上げる移転」が増えるほど、上位帯の在庫が減ります。
企業にとっては、希望条件を全て満たす物件を探すほど時間がかかる局面です。要件に優先順位をつけ、必須条件と妥協条件を分けることが、結果として良い意思決定につながります。
賃料:全グレードで上昇、過去最高値を更新
名古屋は全グレードで賃料が上昇し、過去最高値を更新しています。空室率の改善がはっきりしているため、賃料上昇の説明がつきやすい市場です。
高品質志向が強まるほど、上位帯で成立した賃料がアンカーになり、他グレードでも「以前より下げなくてよい」空気が作られます。結果として、緩やかながら上昇が続きます。
過去最高の更新は、更新交渉の難易度が上がることも意味します。移転先が見つかりにくい市場では、更新時の賃料上昇を受け入れざるを得ないケースが出やすいです。
オールグレード:1万4,520円(0.9%上昇)
オールグレードは14,520円で0.9%上昇と、緩やかな上昇が継続しています。大きく跳ねるというより、底上げされる性格の上昇です。
このレンジでは、物件の更新投資や管理品質が賃料に反映されやすくなります。入居後の満足度が高いビルほど解約が減り、空室が出にくくなるため、賃料を維持しやすいからです。
借主側は、賃料だけでなく、共益費や電気容量、空調の運用、内装制限などの実質コストを含めて比較すると、適正判断がしやすくなります。
グレードA:2万8,750円(1.6%上昇)
グレードAは28,750円で1.6%上昇しており、逼迫度合いに沿った上昇が続いています。空室率0.7%というタイトさを考えると、賃料が上がっても不自然ではありません。
上位帯では、設備やスペックの差がそのまま意思決定の差になります。例えば会議室の取りやすさ、共用部の快適性、セキュリティ、災害対応など、賃料差以上の価値が評価されます。
その結果、賃料は単なる相場ではなく、企業の採用力や生産性への投資として扱われやすく、上昇が続きやすい構図になります。
地方都市のオフィス市場
空室率は都市ごとに差、賃料は全都市で上昇
地方都市は空室率の方向感が分かれる一方で、賃料は幅広い都市で上昇しており、回復の広がりと地域差が同時に見られます。
地方都市では、空室率が低下する都市と上昇する都市が混在しています。これは需要の強弱だけでなく、新規供給の有無や、主要産業の景況感、人口動態といった構造要因が影響するためです。
一方で賃料が全都市で上昇している点は注目ポイントです。これは、良い物件が不足していることや、更新時に賃料が是正されやすいことが背景にあり、空室率が必ずしも賃料の方向性を決めない局面に入っていることを示します。
地方市場ほど二極化が進みやすく、中心部の優良物件は堅調でも、周辺や築古は停滞することがあります。市場平均ではなく、実際に入居検討するエリアと物件帯で相場を確認することが重要です。
空室率:10都市中5都市で低下、4都市で上昇、1都市横ばい
地方主要都市では、10都市中5都市で空室率が低下、4都市で上昇、1都市が横ばいと、需給の方向感が一様ではありません。地方は市場規模が比較的小さいため、数棟の竣工や大口解約だけでも指標が動きやすいです。
空室率が低下している都市は、中心部への企業集積が進み、比較的良い物件が選ばれ続けている可能性があります。逆に上昇している都市は、新規供給の影響か、需要の弱さが出ているかを切り分ける必要があります。
この差を正しく読むには、空室率の変化量だけでなく、増えた空室が新築か既存か、中心部か周辺かといった内訳の把握が欠かせません。
地域によって回復スピードに差
回復スピードの差は、産業構造や企業集積の度合いに強く影響されます。例えば成長業種の拠点が集まりやすい都市は需要が底堅く、逆に特定産業への依存度が高い都市は景況感の影響を受けやすいです。
人口動態や採用環境も重要です。人材獲得が難しい地域ほど、立地やオフィス品質を武器にしたい企業が増え、中心部の良質な物件に需要が集まりやすくなります。
つまり地方市場の回復は、景気循環だけでなく、都市としての競争力の差がそのまま需給に反映される形になりやすい点が特徴です。
新規供給の有無が影響
新規供給があると、短期的に空室率は上がりやすくなります。竣工直後は空室が計上される一方で、実際にはこれから埋まる予定の床も含まれるからです。
地方では吸収に時間がかかる場合もあります。市場規模が小さいと、大口テナントの移転タイミングが合わないだけでリーシングが長引き、空室率が高止まりすることがあります。
そのため、新規供給の影響を見極めるには、空室率の数字だけでなく、募集条件の柔軟性や、成約がどの程度進んでいるかといった現場の動きをセットで確認することが大切です。
賃料:全都市で上昇、福岡は過去最高値
地方都市では賃料が全都市で上昇し、福岡は過去最高値という動きが出ています。背景には、更新時の賃料是正が進んでいることと、中心部で高品質物件が不足しやすいことがあります。
地方でも働き方の再設計は進んでおり、同じ面積でも「働きやすいオフィス」に移りたいニーズが増えています。しかし選択肢が多くないため、良い物件に需要が集まり、賃料が上がりやすいです。
一方で、賃料上昇が全ての物件に均等に起きるわけではありません。中心部の良質な物件は強い一方、条件が弱い物件は空室を埋めるために実質条件を緩めるなど、二極化が進みます。
福岡:1万6,580円(0.5%上昇)
福岡の賃料は16,580円で0.5%上昇し、過去最高値の更新が話題になっています。上昇率は大きくなくても、高水準を維持しながら更新している点に強さがあります。
福岡は広域から人と企業が集まりやすく、中心部の良い物件に需要が集中しやすい市場です。結果として、需給のタイトさが賃料に反映されやすくなります。
借主側は、同じ賃料帯でもビルの運用品質に差が出やすい点に注意が必要です。清掃や設備対応、共用部の快適性など、日常の運用が満足度と定着に直結します。
地方でも賃料上昇トレンドが広がる
地方でも賃料上昇が広がっているのは、東京・大阪だけの特殊要因ではなく、全国的にオフィスの価値が再定義されていることを示します。更新時の是正に加え、良質な在庫が相対的に不足していることが共通要因です。
ただし今後は、上昇が続く都市と調整が入りやすい都市に分かれやすくなります。人口動態や産業の強さ、供給計画の違いが、そのまま賃料の方向性に出るからです。
地方ほど二極化が進むと、テナントにとっては「適正賃料で良い物件を確保できるか」が経営課題になります。相場確認を定期的に行い、更新交渉や移転の選択肢を早めに用意することが有効です。
オフィス賃料が上昇している背景
景気要因だけでなく、働き方の変化やオフィスに求める価値の変化
賃料上昇は景気要因だけでなく、働き方の変化やオフィスに求める価値の変化によっても説明できます。
2025年のオフィス賃料トレンドは、需要量の回復と需要の質の変化が同時に起きている点が本質です。単に面積を減らす・増やすの議論ではなく、オフィスをどう使い、どんな体験を提供するかが賃料許容度を左右しています。
出社の再定義、採用競争、ESG対応などが重なり、良い物件に需要が集中しています。供給が限られる上位帯では、その集中が価格に直結しやすく、結果として相場全体も押し上げられます。
一方で、賃料上昇は全ての物件に平等ではありません。選ばれる理由が明確な物件は上がり、そうでない物件は条件調整で埋めるという二極化が進むため、企業側は「どの相場」を参照するかを慎重に選ぶ必要があります。
出社回帰とハイブリッドワークの定着
出社回帰は一過性ではなく、ハイブリッドワークとして定着しつつあります。毎日フル出社ではなくても、一定頻度で集まる前提があると、拠点の必要性は残ります。
ハイブリッドでは、出社日に人が集中しやすく、席数を減らしても会議室や共用スペースが不足しがちです。その結果、単純な縮小よりも、機能強化を伴う移転が増え、良質なオフィスへの需要が維持されます。
また、通勤負荷を下げるための立地改善や、複数拠点運用の検討も進みます。こうした動きが、空室の吸収と賃料上昇に結びついています。
完全リモートから“出社+リモート”へ
完全リモートは、短期的には合理的でも、長期では育成や文化形成が課題になりやすいです。研修やオンボーディング、評価面談など、対面の方が効率的な業務が再認識され、出社を組み込む企業が増えています。
出社の目的が明確になるほど、オフィスに求める要件も変わります。単なる作業場所ではなく、会議、採用イベント、社内コミュニケーションの場としての役割が強まります。
結果として、立地やビル品質へのこだわりが強まり、特に高グレードへの需要が賃料上昇を牽引する形になります。
コラボレーション重視のオフィス需要が増加
コラボレーション重視では、会議室、ラウンジ、共創スペースなどの比重が増えます。個人の固定席を減らしても、こうしたスペースを整えると必要面積が大きくは減らないことが多いです。
この用途では、天井高、電源、空調、音環境、共用部の質など、ビルスペックが成果に直結します。設備が整ったオフィスほど働き方の設計がしやすく、選ばれやすくなります。
結果として、同じ面積でも「より良い物件」に移る企業が増え、グレード間の需給差が拡大し、賃料上昇の圧力になります。
企業の業容拡大・採用強化
企業の業容拡大や採用強化は、オフィス需要を直接押し上げます。人員が増えれば席や会議室が必要になり、部門新設や新規事業の立ち上げでは分室や拡張移転が起きやすくなります。
重要なのは、拡張ニーズが特定業種に偏っていない点です。需要の裾野が広いほど、市場全体の空室吸収が安定し、賃料が上がりやすい環境になります。
また採用競争の激化により、オフィスが福利厚生やブランディングの一部になっています。採用力を高める投資として賃料を捉える企業が増えると、上位物件の賃料は下がりにくくなります。
IT・専門サービス・製造業など幅広い業種で拡張ニーズ
拡張ニーズが幅広い業種で見られると、市況は一部業界の景気に左右されにくくなります。ITや専門サービスは人員増が面積増に直結しやすく、成長局面では需要を牽引します。
製造業でも、研究開発、営業、デジタル部門など都市部オフィスの機能が強化されると、質の高いオフィスへの需要が増えます。単なる本社機能だけでなく、付加価値部門が都市に集まるほど上位物件は強くなります。
このように需要が分散している市場では、空室率が改善しやすく、賃料トレンドも上向きになりやすいです。
分室開設やグレードアップ移転が増加
分室開設は、BCPや採用、通勤利便性の改善に直結します。1拠点に集約するよりも、目的別に分ける方が運用効率が上がるケースが増え、結果として賃貸需要が増えます。
グレードアップ移転は、働き方の設計と一体です。会議や共創を重視するなら、スペックが不足する旧来型オフィスでは限界があり、移転が合理的になります。
これらの動きは、高グレードへの需要集中を強め、賃料上昇を加速させます。特に空室が少ない都市では、意思決定のタイミングが賃料負担を左右します。
高グレードビルへの集中
同じ床面積でも「より良い物件」を選ぶ動きが強まり、高グレードビルへの集中が進んでいます。これにより、グレード間で空室率と賃料の差が広がります。
高グレードが強いのは、単に新しいからではなく、企業が求める条件を満たしやすいからです。立地、設備、セキュリティ、災害対応、環境性能など、複数要件を同時に満たすのは上位物件になりやすいです。
結果として、上位物件は高稼働で賃料が上がり、旧ビルは埋まりにくいという二極化が進行します。賃料トレンドを読むには、自社がどちら側の市場に属しているかの認識が不可欠です。
ESG・働き方改革の観点から“質の高いオフィス”が選ばれる
ESGの観点では、環境性能の高いオフィスを選ぶことが企業価値に直結しやすくなっています。エネルギー効率が高いビルは運用面のメリットもあり、賃料が高くても総合的に合理的と判断されます。
働き方改革の観点では、快適性や健康性、防音、空調の質などが従業員満足度に影響します。採用と定着のために、質の高いオフィスを選ぶ企業は増えています。
こうした要件は代替が効きにくく、該当する物件が限られます。だからこそ、プレミアム賃料が成立しやすく、賃料上昇の核になっています。
旧ビルとの二極化が進行
二極化は、高スペックが上がる一方で、築古や立地が弱い物件が取り残される現象です。需要が「どこでも良い」から「選ぶ」へ変わるほど、差が出ます。
旧ビルは賃料を下げれば埋まるとは限りません。電源容量や空調、耐震、共用部の古さなどが業務効率や採用に影響すると、そもそも候補から外れやすいからです。
このため貸主側は、賃料調整だけでなく、設備更新や用途転換などの打ち手が必要になります。借主側は、相場が上がっている時ほど、旧ビルの条件改善余地を見極めて交渉することが重要です。
今後のオフィス賃料トレンドの見通し
2026年以降を見据える
2026年以降を見据えると、都市別に賃料の上がり方やリスク要因が異なるため、地域特性を踏まえた見通しが重要です。
今後のオフィス賃料トレンドは、回復が続く一方で、供給計画や景気変動により調整が入り得ます。特に新規供給の集中時期には、空室率が一時的に上がっても不思議ではありません。
ただし、どの局面でも高グレード・好立地が強い構図は続きやすいです。企業のオフィス選好が変わったことで、需要が質に集中するためです。賃料の上げ下げは、市場平均よりもグレード間の差として現れやすくなります。
借主は更新や移転を「市況が落ち着いたら検討」ではなく、供給と需給の変化を見越して前倒しで準備することが、コストと選択肢の両面で有利になります。
東京は高グレード中心に上昇基調が続く可能性
東京は高グレードの逼迫が続く限り、賃料は上昇基調が続く可能性があります。空室率が低いと、更新時の是正も進みやすく、成約賃料が上がりやすい環境です。
一方で下振れ要因としては、景気後退による需要減や、大規模供給の集中があります。供給が増えると平均空室率は上がり得ますが、中心部の優良物件は相対的に強く、影響は物件ごとに分かれやすいです。
東京で重要なのは、希望条件を厳格にしすぎないことと、候補不足を前提にスケジュールを組むことです。良い区画が出た瞬間に動ける体制が、賃料負担を抑える実務的な鍵になります。
大阪は新規供給の動向がカギ
大阪は新規供給の消化ペースによって空室率がぶれやすく、トレンド判断には供給計画の把握が欠かせません。短期的な空室率上昇があっても、需要が強ければ賃料は底堅く推移します。
好立地・高品質への需要は継続しやすく、賃料を下支えする要因です。一方で、供給が続くほど競争は激化し、立地やスペックが劣る物件は条件面で譲歩を迫られやすくなります。
借主にとっては、供給局面が交渉機会になることがあります。ただし人気物件は別で、結局は早い者勝ちになりやすいため、交渉と意思決定のスピードの両立が必要です。
名古屋は需給タイト化で堅調推移
名古屋は供給制約が続く限り、需給がタイト化しやすく、賃料は堅調に推移しやすいです。空室率が低い状態が続くと、更新時の賃料上昇も通りやすくなります。
一方で、供給が増える局面に入ると調整が起きる可能性があります。ただしその場合も、需要が高品質に集中する構図が続けば、影響は物件ごとに分かれます。
名古屋では、物件選定のタイミングが重要です。候補が少ない市場では、相場が大きく動く前に優良区画を押さえられるかが、長期の固定費を左右します。
地方都市は都市ごとに二極化が進む
地方都市は、人口動態、産業集積、供給計画の差が大きく、賃料の上昇が続く都市と調整が入りやすい都市に分かれやすくなります。これが二極化の本体です。
中心部の優良物件は、地方でも需要が強く、賃料が上がりやすい一方、周辺や築古は空室リスクが残りやすいです。市場平均の数字は、実際の意思決定に直結しないケースが増えます。
借主は、都市全体の相場よりも、自社が狙うエリアとグレードの「実勢」を追うことが重要です。更新交渉に備えて代替案を持つだけでも、条件が大きく変わる可能性があります。
まとめ
オフィス市場は“回復と選別”がキーワード
全国的には回復が進む一方、どの都市・どのビルでも同じように上がるわけではなく、選別(グレード・立地・性能)が一段と重要になっています。
2025年のオフィス賃料トレンドを一言で言うと、回復が全国に広がりながら、選別が強まった年です。空室率の改善と賃料上昇が同時に進み、特に高グレードが市場を牽引しました。
ただし、賃料上昇は一律ではありません。立地やスペック、運用品質といった「選ばれる理由」がある物件は強く、そうでない物件は伸びにくいという二極化が進んでいます。
移転や更新は、相場が上がってから動くと選択肢が減りやすいです。自社の働き方と必要要件を整理し、都市特性と物件特性を踏まえて、前倒しで意思決定することが結果的にコスト最適化につながります。
空室率低下と賃料上昇が全国的に進行
主要都市だけでなく地方でも、空室率の改善が進む都市が増え、賃料も幅広い都市で上昇しています。空室率と賃料が同時に改善するのは、需給が引き締まり、貸主側が条件を維持できる環境になっていることを示します。
ただし、空室率が上がる都市でも賃料が上がるケースがあり、供給要因と需要要因を切り分けて読む必要があります。新規供給による一時的な空室増は、必ずしも市況悪化を意味しません。
指標を読む際は、都市別だけでなくグレード別の動きを確認し、どの層が相場を動かしているかを捉えることが重要です。
高グレードビルへの需要集中が鮮明
高グレードビルへの需要集中が続き、賃料上昇の中心になっています。出社回帰やコラボ重視、ESG対応などにより、企業が求める要件が高度化し、それを満たす物件が限られるためです。
この集中は、賃料水準だけでなく交渉構造も変えます。賃料交渉よりも、入居時期や区画の確保、増床余地といった実務条件が勝負になる場面が増えます。
一方で旧ビルは、賃料を下げても埋まりにくいことがあり、設備更新や用途の見直しが必要になります。市場の二極化は、今後も継続する可能性が高いです。
地域差を踏まえたオフィス戦略が重要に
移転・更新・増床・縮小の判断では、都市特性を踏まえることが不可欠です。東京は候補不足によるスピード勝負になりやすく、大阪は供給動向の影響が出やすいなど、戦い方が違います。
さらに同じ都市でも、エリアとグレードで相場は大きく異なります。市場平均ではなく、自社の要件に合う物件帯の相場を把握し、適切なタイミングで動くことが重要です。
賃料トレンドが上向く局面ほど、準備の差が結果の差になります。早めに要件定義と相場確認を行い、複数シナリオで移転計画を組むことが、リスクを抑えたオフィス戦略につながります。
NEW
-
query_builder 2026/02/13
-
令和8年度(2026年度)税制改正のポイント総まとめ|個人・企業・投資家が知るべき変更点
query_builder 2026/02/06 -
オフィス賃料トレンド総まとめ|東京・大阪・名古屋・地方都市の最新動向と今後の見通し
query_builder 2026/01/30 -
【田舎の土地活用】田舎で倉庫経営する魅力とポイント、注意点は?
query_builder 2026/01/19 -
【田舎の土地活用】面白い活用アイデアは?実現するためには?
query_builder 2026/01/12
CATEGORY
ARCHIVE
- 2026/022
- 2026/014
- 2025/125
- 2025/113
- 2025/104
- 2025/095
- 2025/084
- 2025/074
- 2025/065
- 2025/054
- 2025/045
- 2025/034
- 2025/023
- 2025/013
- 2024/122
- 2024/072
- 2024/052
- 2024/032
- 2024/022
- 2024/012
- 2023/122
- 2023/113
- 2023/104
- 2023/092
- 2023/082
- 2023/071
- 2023/062
- 2023/053
- 2023/042
- 2023/032
- 2023/022
- 2023/012
- 2022/123
- 2022/112
- 2022/103
- 2022/092
- 2022/083
- 2022/072
- 2022/062
- 2022/053
- 2022/041
- 2022/021
- 2022/012
- 2021/121
- 2021/114
- 2021/105
- 2021/098
- 2021/074
- 2021/067
- 2021/056
- 2021/041